問題編ラストの第9話です。
週刊少年マガジン 2016年2・3号[2015年12月9日発売] [雑誌]

「人形島殺人事件」第9話

週刊少年マガジン 2016年2-3合併号

トリックの正体を掴んだ金田一は、さらに推理を進め、
連鎖する真相を紐解いていく。そして、「謎はすべて解けた!」
皆を集め、真犯人「祟り人形」がこの中にいると宣言する。

■登場人物
名前説明
朱鷺田 忍不動高校 社会科教師
祖母の遺品の人形から出てきた暗号の解読を金田一に頼む
火吐潟島には遅れるようで、まだ到着していない
“紅小路巴”として、その生首が発見される
以前、「時田朋江」としても活動していた
林堂 まこと火吐潟島に住む、金田一・美雪の幼稚園の幼馴染み
男、人形荘の若旦那、12年前の事件を金田一に話す
林堂 みずほまことの母、人形荘の女将
12年前、まゆみを轢いた男の名前を金田一に話す
蟻塚 至人形荘の番頭、12年前の事件について口止めされる
紅小路 巴覆面作家「ペルソナドール」の1人、日本人形の仮面
殺害され、頭部だけが発見される。その素顔は朱鷺田だった。
鈴丘 魔矢子覆面作家「ペルソナドール」の1人、フランス人形の仮面
殺害され、下半身部分だけが発見される
漢田 切裏子覆面作家「ペルソナドール」の1人、道化人形の仮面
殺害され、胴体部分だけが発見される
星坂 花梨「月刊クイーン」記者、いつきとともにペルソナドールを取材
雨野 影近人形供養祭 参加者、亡き恋人のフランス人形を供養
詩村 瞳人形供養祭 参加者、祖父が遺したくまのぬいぐるみを供養
赤神 双一郎人形供養祭 参加者、一刀彫りの人形を供養
田中 豪人形供養祭 参加者、殺された母の日本人形を供養
母を殺した男が、剣持がかつて逮捕した男だった
“時田朋江”の小説が、母を殺した男をモチーフにした内容だった
その男は、林堂まゆみを轢き殺した男と同一人物だった

と言うことで問題編ラストです。
真相当てクイズが無いのが残念と言うか、無いのが当たり前になりつつあって寂しくも感じたり。


まずは前回、金田一が(おそらくは)錯視トリックを閃いた続きから─。
朱鷺田忍のコンタクトレンズについて確認していましたが、
ここは予想通り、普段のメガネ姿がダテ眼鏡で、言わば時田朋江時代の風貌を隠すための変装だったのですね。
紅小路巴として被せられていた仮面もきちんと回収されていたようで、これは物的証拠になってきそう。

…と連続して書いていて気付いたけど、「朱鷺田=時田」だけでなく「巴=朋江」でもあったのですね。今さら気付いた。


■ペルソナドールの正体
以前から3人ともが写った写真に対して、違和感があるとこぼしていた金田一。

今回あらためて、その写真が出てきましたが─
その時から言っていた通り、背丈が違うとか、せいぜい手の組み方が違う(利き手?)かなあ、ぐらいしか気付きません(^-^;;
それを持って「ペルソナドールの正体は1人である」という結論でいいのかな。
同時に、遺体の分割によって3人分に見せていたトリックにも察しが付いた、と。

それを踏まえて、美雪といつきに焼け跡を調べてもらっていたのは…
まさか遺体の痕跡を調べてもらうワケにもいかないだろうから、
切断した遺体を、2人目・3人目と登場させるまでの間、部位を一時的に埋めたような跡はあったか、という所だと思います。
<追記(2015.12.10 22:54)>
「一時的に埋めた」について説明を端折りすぎていたので、補足説明します。

以前コメント欄にて…
1人の遺体の分割トリックだとしたら死亡推定時刻をどう誤魔化すのだろう、というやりとりがあり、
解決策として「遺体を土に埋めることで、誤魔化せるのではないか」というのがありました。
それを受けて、埋めていたとすれば、あの焼失した首代堂だったのでは、という考えでした。

ただ、読み返してみると2人目とされる鈴丘魔矢子の死亡推定時刻って出てきてませんでしたね…。

先のやりとりが先行して、すっかり死亡推定時刻が描かれたとばかり思ってしまっていました。
加えて切断されて下半身だけの状態で埋めて、死亡推定時刻が誤魔化せるのかも分かりませんし。

なので、土を掘り起こした跡であったか調べる、という観点では
当記事コメント欄で卍さんの指摘された理論の方が説得力があると思います。お騒がせしました(^-^;;

同時に、そういった死亡推定時刻の誤認工作が行われていなかったのであれば、
朱鷺田忍の頭部の死亡推定時刻を割り出せればトリックの証明が出来そうかな、と気付いたり。
</追記ここまで>


■つながる事件と事故
こちらもそれとなく予想していたことではありましたがねまさか本当になるとは!
田中豪の母親を殺害した男、そもそもは交通事故を引き起こしたことが転落の始まりだったと語られていましたが、
その事故というのが、12年前に林堂まことの妹・まゆみを轢き殺した事故だったと明かされました。
(ちなみにまこと・まゆみの兄妹が双子というのは今回が初出…であってるかな)

男の名は「弓月清吾」
時田朋江名義で書いた小説は、彼のことを描き、そして家族も傷付ける形となってしまった、ということだと思われます。


■「謎はすべて解けた!」
そんなワケで、これらの事実を元に金田一は事件の真相が見えたようです。
ここらで自分も推理をまとめようかと思ったのですが、今回はコメント欄の受け売りになっちゃう部分が多くて申し訳ない。

真犯人は星坂 花梨
根拠は皆さんがズバリ指摘された、紅小路(朱鷺田)の死体を見た時の「先生」発言。
ただ動機面では、どう朱鷺田忍と関係があったのか判然としていないのが気掛かり…。

ペルソナドールは、朱鷺田忍1人(星坂花梨も協力はしてるかな)によるペンネームで、ほか2人は実在しない。
殺害されたのは朱鷺田忍1人で、遺体を3分割し3人分の遺体であるかのように見せていた。

ペルソナドール3人揃って登場する場面は、やはり「エキストラ」だと考えることにします。
金田一が、今回の事件の発端を「朱鷺田忍が鈴丘魔矢子・漢田切裏子を殺すための計画」と表現しています。
無論2人は実在しないので、この殺害計画というのはペルソナドールの活動を辞めるためのお芝居。
エキストラ2人は、言わば殺人ではなく殺人劇の協力者だったのではないでしょうか。
(漢田切裏子のあのグロテスクな死体を見て、まだお芝居だと思っていたのか疑問も残りますが…)

もう1つ。ペルソナドールの正体が1人であるならば…
そもそも「紅小路巴=朱鷺田忍」にこだわる必要はなく、誰の中に入ってもいいはず。
今回の事件、もしかしたら「朱鷺田忍は、実は最初に殺された漢田切裏子の中に入っていた」とかだったら、
エキストラ2人への殺人劇の段取りも入れ替わりとかなくスムーズそうだなあ、と考えてみたり。


■次回

と言うことで次回から解答編がスタートです。
合併号なので、休載に続きまた2週間空いてしまうのが辛いところですが。